有害廃棄物の輸出については、「有害破棄物の越境移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」(以下、「バーゼル条約」といいます。)が定められています。日本は1993年にバーゼル条約に加入し、その履行のための国内法として「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(平成4年法律第108号)」(以下、バーゼル法」といいます。)が施行されている状況です。

バーゼル条約では、規制対象となる物と規制対象外の物をリスト化(附属書Ⅷ、附属書Ⅸ)して明確にしていますが、バーゼル法においても「特定有害廃棄物等」として規制対象となるものとならないものを告示(「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律第2条第1項第1号イに規定する物」)において具体的に示しています。

原則として、別表第一は規制の対象外となるもの、別表第二は規制の対象となるもののリストです。別表第一、別表第二に掲載されていないものについては、別表第三で判断します。また、バーゼル条約の付属書Ⅱに掲げるもの(家庭系廃棄物)も規制対象となります。さらに、OECD理事会決定で別途規制対象物が定められています。

バーゼル法判定流れ
附属書Ⅳ
別表第一
別表第二
別表第三

特定有害廃棄物を輸出するときの手続き


バーゼル法では、輸出しようとする貨物が特定有害廃棄物等に該当する場合は、輸出貿易管理令に基づき、経済産業大臣の承認を得なければならないと規定しています。なお、廃棄物の処理及び清掃に関する法律では、有害か無害かを問わず廃棄物処理法上の「廃棄物」に該当する物の貿易を規制しており、当該「廃棄物」を輸出する場合には環境大臣の確認を要しますので、ご注意ください。

◎特定有害廃棄物等を輸出する際の流れ
特定有害廃棄物等を輸出する際の流れ

輸出承認申請に必要な書類等につきましては、以下をご参照ください。
バーゼル関連貨物を台湾へ輸出する
バーゼル関連貨物を台湾以外へ輸出する

 

OECD加盟国との間での輸出入

バーゼル条約附属書ⅣBに掲げる処分作業(再生・回収作業)を行うために、OECD加盟国間で、輸出又は輸入が行われる場合、その貨物が規制対象物であるかどうかの判断は、「経済協力開発機構の回収作業が行われる廃棄物の国境を越える移動の規制に関する理事会決定に基づき我が国が規制を行うことが必要な物を定める省令(平成13年環境省令第41号)」で判断されます。
バーゼル条約とOECD理事会決定では規制対象物が異なるため、取引相手国がOECD加盟国(主な先進国)か非加盟国(中国、フィリピン、マレーシア等)かによって判断を行う必要があります。
なお、両方に加盟/締約のある国は、OECD理事会決定が優先します。両方に加盟/締約のない、台湾については民間取り決めに従います。ラオス、ミャンマーについては取り決めがないため、現在該当物の輸出入はできません。
具体的な判断基準につきましては、別表第一(OECD間の場合)別表第二(OECD間の場合)をご覧ください。

【OECD加盟国】
オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、チェコ、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシア、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、日本、大韓民国、ルクセンブルク、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロヴァキア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、イギリス、米国(※)
※米国はバーゼル条約締結国ではありませんが、リサイクル目的の場合、OECD理事会決定に従って輸出入することができます。

バーゼル条約による「汚れたプラスチックごみ」の規制

私たちの生活に欠かせないペットボトル飲料や食品容器として利用されているプラスチックですが、一般家庭で使い終わった後のこれらの容器は、一般廃棄物や産業廃棄物として回収されて行きます。

この廃プラスチックは、日本国内で処分されるものの他に、海外へ排出される廃プラスチックもあり、日本の排出量は、現在世界で3位の廃プラスチック輸出量となっています。

世界的な問題となりつつある廃プラスチックの、国境を超える移動や処分に関して、バーゼル条約でも「汚れたプラスチックごみ」が規制される動きが出てきました。

2019年のバーゼル条約の会議で、附属書の内容が見直され、この附属書に汚れたプラスチックを追加することで、改正後は汚れたプラスチックを輸出するためには、相手国の同意が必要になりました。

また、バーゼル条約による規制対象になるという事は、今後輸出をするためには、相手国の同意の他に、日本国内の手続きとしても、経済産業省の承認と、環境大臣による確認の手続きが必要になりました。
(税関への手続きも今までと同様に必要です)

国内処理の面でも、輸出が困難になる廃プラスチックの処分のため、国内での処理できる量を強化する行政の動きが出てきています。

今後、活発化する廃プラスチックの国内処分の動きを支えるためにも、一般廃棄物収集運搬業産業廃棄物収集運搬業の許可は必要とされ、許可を持つ事業車の活躍が期待されています。