輸出管理内部規定受理票(CP受理票)とは?


輸出管理内部規定受理票(CP受理票)は、輸出者等が輸出管理内部規定(CP)を経済産業省に提出した後、外為法等の遵守事項をすべて含む適切な内部管理と確認できた場合に発行されます。

この輸出管理内部規定受理票が発行されている輸出者等は、毎年7月1日から7月31日までの間に、この輸出管理内部規定(CP)の確実な実施を確認するため、輸出者等概要・自己管理チェックリストを提出する必要があります。その内容が適切である場合には、別途、輸出者等概要・自己チェックリスト受理票が発行されます。

輸出管理内部規定を新規に経済産業大臣に届け出る場合には、以下の資料が必要となります。

1)輸出管理内部規定
2)輸出管理内部規定の届出について
3)輸出管理内部規定総括表
4)輸出者等概要・自己管理チェックリスト

輸出管理内部規定とは、外為法をはじめとする輸出関連法規の遵守事項をすべて含む内部規定をいいます。

なお、合併や会社分割、事業譲渡等の組織上の変更があった場合には、内容変更届が必要になります。ただし、存続する輸出者が輸出管理内部規定受理票を発行された輸出者でない場合には、新規の扱いとして届出が必要になります。

輸出管理内部規定(CP)の最高責任者とはどんな人?


輸出管理内部規定(CP)で規定している安全保障輸出管理の最高責任者は、大臣通達に基づき「代表取締役」とされています。その理由は、最高責任者には、安全保障輸出管理に関する組織内の管理・統制能力や、万一の違反発生時における対外的な対応に関する以下の権限や責任と、それを担う能力が必要とされ、そのような観点から最も適切な者と考えられるからです。

1)外為法関係法令の遵守を徹底させる責任
2)違法のおそれのある輸出等の停止を命令する権限
3)外為法関係法令違反などが発生した場合、その原因を究明し、違反者を処罰し、行政庁に報告して指示を仰ぐとともに、再発防止策を構築する責任

以上の趣旨を踏まえ、最高責任者は代表取締役の中から選任する事となっています。

なお、企業の規模や組織の形態によっては、最高責任者を代表取締役の中から選任する事が困難になる場合もあり得ます。その場合には、代表取締役に代わって責任や権限を担うのにふさわしい方を選任することも考えられます。
ただしその場合には、選任する理由や妥当性を慎重に検討し、その旨を取締役会で決議するなどの手続きを経て、明確にしておくことが必要となります。

輸出管理内部規定のメリットとは?


輸出管理内部規定は、企業が輸出に関する内部管理を行うための手法の一つです。
1987年に、輸出承認が必要な規制貨物の申請を偽るなどして無許可で旧ソ連に輸出し、旧ソ連の軍事力強化をもたらして国際的非難があったため、米国の例にならって導入された手法です。

輸出管理内部規定は無許可の輸出を防ぐ事を目的とした社内ルールでもあるため、その体制が整っている事は、取引の相手の信頼に繋がり、安心して取引をしてもらうためのアピール材料にもなります。
現在では、各企業内のコンプライアンス意識の高まりから、導入を行っている事業者は年々増加する事となっています。

社内ルールを明確化することで、他にもメリットはあります。
体系的な行動規範が明確化されるので、各部門の従業員がどのような場合にどんな行動をするべきなのかがわかるようになるため、手違いによる不正輸出のリスクも低下する事になります。責任体制も明確化するので、業務の上で従業員が困った場合の相談先もはっきりとします。
このような取り組みを行っていることを外部アピールすることで自社の信頼へとつながることになります。

輸出許可の上でのメリットとしては、輸出管理内部規定を作ることによって、特別一般包括許可などの許可を受けられるようになります。

輸出管理内部規定のリスト規制品輸出等の遵守基準とは?

事業として輸出や技術提供を行う事業者の方は、輸出者等遵守基準に従って、適切な輸出・技術提供を行う必要があります。
中でも特に安全保障上、輸出令別表1や外為令別表に掲載されているようなリスト規制品等を扱う輸出者は、輸出者等の遵守基準に加えてリスト規制品輸出等の遵守基準も遵守する必要があります。

リスト規制品輸出等の遵守基準には、以下のような基準があります。

1)組織の代表者を輸出管理の責任者とすること。
2)組織内の輸出管理体制(業務分担・責任関係)を定めること。
3)該非確認に係る手続きを定めること。
4)リスト規制品の輸出等に当たり用途確認、需要者確認を行う手続きを定めて手続きに従って確認すること。
5)出荷時に該非を確認した貨物等と一致しているか確認を行うこと。
6)輸出管理の監査手続きを定めて実施するように努めること。
7)輸出管理の責任者と従業員に研修を行うよう努めること。
8)輸出等関連文書を適切な期間保存するよう努めること。
9)法令に違反したときや違反したおそれがあるときは、速やかに経済産業大臣に報告し、その再発防止のために必要な措置を講ずること。

リスト規制品の輸出をする際には、上記の基準に従って、輸出許可が必要な場合は適正な手続きを取った上で輸出する必要があります。

安全保障貿易管理の上で重要となる取引審査の目的とは?

輸出令別表1や外為令別表の1項から15項に該当しない貨物や技術であっても、16項に該当する場合には、キャッチオール規制の対象となり、許可が必要となるケースも発生します。

このキャッチオール規制の審査の方法として、需要者確認や用途確認が必要となります。
取引審査とは、需要者確認や用途確認を含めた総合的な審査の事です。

取引審査の目的は、主に以下の2つが目的になります。

1)外為法の輸出令や外為令に従い、企業として適法な輸出を行うため。
2)違法とまではならなくても、怪しい取引から企業の身を守り、企業のコンプライアンスとして違法な取引に加わらないようにするため。

外為法上の直接の責任は、輸出をする方に発生しますが、取引の相手企業がこれから違法な輸出をするとわかっているなら、企業のコンプライアンスとして取引を停止する決断も必要となるでしょう。もし違法な輸出であることを知っていながら取引をした場合、国際的な非難を受けることもあるでしょう。