第25条 国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の種類の貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術(以下「特定技術」という。)を特定の外国(以下「特定国」という。)において提供することを目的とする取引を行おうとする居住者若しくは非居住者又は特定技術を特定国の非居住者に提供することを目的とする取引を行おうとする居住者は、政令で定めるところにより、当該取引について、経済産業大臣の許可を受けなければならない。
(輸出の許可等)
第48条 国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出をしようとする者は、政令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。
個別の輸出許可の場合は、契約成立後でなければ申請することが出来ません(このことにより契約書は、原則として、政府の許可が得られるまで契約が発効しない旨の規定を盛り込んだものであることとされています)。
ですので、契約成立と同時に輸出することは個別の輸出許可では原理的に出来ないことになります。
これに対して、一般包括許可を取得すると、適用範囲内において個別の輸出許可・役務取引許可申請手続きは不要になります。これが一般包括許可の主要かつ最大のメリットでもあります。
さらに、一般包括許可の更新は比較的容易ですので、輸出許可の必要な輸出が継続的に見込まれる限り、長い目で見れば一般包括許可を取得する方が個別の輸出許可を取得するより手間がかからないというメリットもございます。
輸出するのは年に1件ぐらいという方は、個別の輸出許可申請で対応が十分に可能ですが、年に数件を見込んでいる方であれば、この一般包括許可の取得は必須のものといえるのではないでしょうか。
もっとも、一般包括輸出許可を取得していても、輸出令第2条第1項の規定による承認を必要とするものについては、別途承認を取得することが必要ですのでご注意ください。
では、以下具体的に一般包括許可について見ていきましょう。
1.一般包括許可の申請者
一般包括許可の申請は誰でもできるという訳ではなく、次のいずれにも該当する方であることが必要です。
- 電子情報処理組織を使用して行う特定手続等の運用について(平成12年3月31日付け平成12・03・17貿局第4号・輸出注意事項12第15号・輸入注意事項12第8号。以下「特定手続等運用通達」という。)に定めるところにより申請を行う方
- 次の①又は②のいずれかに該当する方
① 輸出者等遵守基準を定める省令(平成21年経済産業省令第60号)第1条第一号イに定める該非確認責任者及び同条第二号イに定める統括責任者を選定し、申請時に、これらの者について経済産業大臣に登録を行う方
② 「輸出管理内部規程の届出等について」(平成17・02・23貿局第6号輸出注意事項17第9号)別紙1に定める外為法等遵守事項を全て含む内部規程(複数の規程によって構成されるもの、輸出管理以外の事項をも包含するもの、規程の一部について他者の輸出管理内部規程を引用し、又は準用して読み替えるものを含みます。以下「輸出管理内部規程」という。)の整備及び外為法等遵守事項の確実な実施に関して、経済産業省貿易経済協力局安全保障貿易検査官室(以下「安全保障貿易検査官室」という。)から「輸出管理内部規程の届出等について」に定める輸出管理内部規程受理票(以下「輸出管理内部規程受理票」という。)及び輸出者等概要・自己管理チェックリスト受理票(以下「チェックリスト受理票」という。)の交付を受けている方。
ただし、外為法等遵守事項中「7 子会社及び関連会社の指導」の実施状況については、一般包括許可を行う場合における評価対象としません。
2.一般包括輸出許可の要件
(1)一般包括輸出・役務(使用に係るプログラム)取引許可の場合
申請する方が、以下の①若しくは②のいずれか又は両方の行為を行おうとする場合において、一括して許可を行ってもその輸出又は取引が国際的な平和及び安全の維持を妨げることとならないと認められるときに、一般包括輸出・役務(使用に係るプログラム)取引許可が出ます。
① 輸出令別表第3に掲げる地域を仕向地として同表第1の2から14までの項の中欄に掲げる特定の貨物の輸出を行おうとする場合
② 輸出令別表第3に掲げる地域において外為令別表の2から14までの項の中欄に掲げる特定の技術を提供することを目的とする取引を行おうとする場合又は輸出令別表第3に掲げる地域の非居住者に特定の技術を提供することを目的とする取引を行おうとする場合
(2)一般包括役務取引許可の場合
申請する方が、輸出令別表第3に掲げる地域において外為令別表の2から14までの項の中欄に掲げる特定の技術を提供することを目的とする取引を行おうとする場合又は輸出令別表第3に掲げる地域の非居住者に特定の技術を提供することを目的とする取引を行おうとする場合において、一括して許可を行ってもその取引が国際的な平和及び安全の維持を妨げることとならないと認められるときに、一般包括役務取引許可が出ます。
3.一般包括許可の範囲
(1)一般包括輸出・役務(使用に係るプログラム)取引許可の場合
一般包括輸出・役務(使用に係るプログラム)取引許可の範囲は、以下の①に該当する輸出及び②に該当する役務取引とされています。
② 別表Bにおいて「一般」と表記された欄にあたる技術(使用に係るプログラムに限ります(ソースコードが提供されるものを除きます。)。)及びその提供地((技術の提供を受ける非居住者が属する外国を含みます。以下同じ。)輸出令別表第3に掲げる地域(別表Bの「い地域①」をいいます。)に限ります。)の組合せとなる取引。ただし、提供地となる特定国と取引の相手方(契約の相手方のほか、当該取引において明らかとなっている限度において当該技術を利用する者を含みます。)が属する特定国が異なる場合は、いずれの特定国についても輸出令別表第3に掲げる地域であることを要するので、ご注意ください。
上記①及び②を満たす場合であっても、アフガニスタン、コンゴ民主共和国、コートジボワール、エリトリア、イラク、レバノン、リベリア、リビア、北朝鮮、ソマリア、スーダン、イランを経由する場合は適用できません。
一般包括輸出許可の適用を判断するにあたっては、絶対に仕向地・輸出令別1の項番のみで判断しないで下さい。
また、核兵器等の開発等又はその他の軍事用途に用いられる場合、用いられるおそれのある場合又はその疑いのある場合には、その輸出に対する一般包括輸出許可はその効力を失い、個別の輸出許可を取得しない限り輸出できない場合がありますので、十分ご注意ください。
(2)一般包括役務取引許可
一般包括役務取引許可の範囲は、以下に該当する役務取引とされています。なお、一般包括役務取引許可が認められる取引に関する法第25条第3項第一号に掲げる行為については、外為令第17条第2項の規定に基づく許可を要しません。
なお、核兵器等の開発等若しくはその他の軍事用途に利用される場合、利用されるおそれがある場合又はその疑いがある場合には、その取引に対して一般包括役務取引許可が効力を失い又は事前に経済産業大臣に届け出る若しくは事後に経済産業大臣に報告することが必要とされますので、ご注意ください。
4.一般包括許可の有効期限
一般包括輸出許可の有効期限は、許可が有効となる日から起算して3年を超えない範囲において経済産業大臣が定める日までです。もっとも、変更の申請を行った場合は変更前の許可の有効期限までにおいて経済産業大臣の定める日までとなっています。
5.一般包括許可の申請手続き書類
一般包括輸出許可の申請手続きに必要な書類については、下記をご参照ください。
- 一般包括輸出・役務(使用に係るプログラム)取引許可申請書
- 統括責任者及び該非確認責任者に関する登録書
- チェックリスト受理票(申請前13月の間に発行されたものに限る。)の写し
※電子申請限定です。
※上記1「一般包括許可の申請者」の①に該当する方
※上記1「一般包括許可の申請者」の②に該当する方