キャッチオール規制説明補完的輸出規制(通称「キャッチオール規制」)とは、実際に輸出しようとする貨物や提供しようとする技術が、大量破壊兵器(核兵器等)や通常兵器の開発等に用いられるおそれのあることが判明した際に、事前に経済産業大臣の許可を受けることを義務付ける規制のことをいいます。

ですので、貨物の輸出や技術の対外提供を行う際は、必ずリスト規制とキャッチオール規制の両方の 観点から確認を行う必要がありますので、ご注意ください。

キャッチオール規制は、大量破壊兵器等に開発等に用いられるおそれがある場合に許可が必要となる「大量破壊兵器キャッチオール規制」 と通常兵器の開発等に用いられるおそれがある場合に許可が必要となる「通常兵器補完的輸出規制」の2種類あります。 ただし、いずれもホワイト国(輸出令別表第3に掲げる地域:輸出管理を厳格に実施している26カ国)向けの貨物の輸出や技術提供については、懸念用途に用いられるおそれが少ないと考えられることから、キャッチオール規制の対象から外れています。

なお、輸出許可を要しない場合であっても当該貨物が核兵器等の開発等のために用いられることとなることを知った場合には、KNOW通達に基づく報告が求められています。

キャッチオール規制対象品目は、リスト規制品目以外で食料や木材を除く全ての貨物、技術となっています。
リスト品以外に特に通常兵器の開発等に用いられる危険性の高い32品目
関税定率法別表抜粋

キャッチオール規制の判定要件

キャッチオール規制の対象範囲に該当するかどうかを判定するための要件として、客観要件とインフォーム要件の2つの要件があります。この2つの要件のどちらかに該当すれば、キャッチオール規制の対象範囲として、輸出許可申請が必要になります。

以下、一般的なキャッチオール規制の判定フローをご紹介いたします。なお、下記フロー中の省令等の詳細につきましてはこちらをご覧ください。⇒「輸出令別表3」「おそれ省令(大量破壊兵器キャッチオール規制)」「おそれ省令(通常兵器キャッチオール規制)」「KNOW通達に基づく報告

キャッチオール判定

※1 HSコードとは、関税定率法によって貨物を輸出する際の分類に用いるコードのことを言います。ここでは、同法の別表に記載されている類の番号(2桁)を指していますので、番号につきましては「関税定率法別表抜粋」をご参照ください。
※2 詳細につきましては、「外国ユーザーリスト」をご参照ください。輸出をされる方は、外国ユーザーリストを入手して、輸出する貨物等のユーザーが本リストに掲載されている場合には、当該貨物の用途、取引の態様・条件についてチェックをして、大量破壊兵器等の開発等に用いられないことが明らかではない場合には、経済産業省へ輸出許可の申請をすることが必要になります。
※3 経済産業省が公表する「明らかガイドライン」に基づいて厳正に審査することが同省から推奨されています。
注:上記フローは、1つの参考例を御紹介したものです。手続き等の具体的な手順は各企業様に委ねられております。

キャッチオール規制の需要者要件について


輸出令別表第1の16の項の貨物や外為令別表の16の項の技術については、輸出令別表第3に掲げている地域以外の地域を、仕向地とする場合は、安全保障貿易管理の大量破壊兵器キャッチオール規制に基づいて、用途要件とともに需要者要件に該当するかどうかを確認する必要があります。

また、リスト規制該当品のうち、少額特例が適用できる貨物や貿易外省令の許可を要しない役務取引等に規定されている一部のプログラムは、大量破壊兵器キャッチオール規制の需要者要件に基づくチェックが必要です。

どのような点をチェックするかという点については、例えば輸出される貨物の需要者や技術の利用者が、核兵器等の開発等を行うかどうか、または過去に行ったかどうかが明らかになっているかという点を確認します。

「明らかになっている」とは、取引相手との契約書やパンフレット、製品カタログ、外国人ユーザーリストやその他の文書などの情報から核兵器等の開発等について記載されている場合などを指します。

安全保障貿易におけるデュアルユースとは?

デュアルユースとは、民生用にも軍事用にもどちらにも使う事ができる技術の事です。
軍事用として開発された技術が民生用に利用されることをスピンオフ、逆に、民生用に開発された技術が軍事用に利用される事をスピンオンといいます。

安全保障貿易管理では、スピンオンもスピンオフもデュアルユースとして大量破壊兵器の製造・開発・拡散や通常兵器の拡散に利用されることがないよう、国際的な取組への協力を行っています。

例えばGPSシステムは、一般的にはカーナビや測量、スマホの位置や現在位置の確認で使用されますが、軍事利用としては、ミサイルの誘導や戦車・戦闘機の位置の確認で利用されています。

また、素材・材料についても、チタンは航空機に使用される一方で、ゴルフクラブの素材としても利用されています。

液晶ディスプレイなども、民間、軍事、どちらでも利用されている技術になります。

取引先から、このようなデュアルユース品が不自然に発注された場合は、軍事転用の恐れが無いか、十分確認するようにしましょう。
不自然な発注とは、通常の注文量をはるかに超える発注数やスペアパーツの要求、必要のない附属品の要求などです。

企業でのキャッチオール規制対策


輸出した貨物や技術が取引相手によって大量破壊兵器などの開発等の懸念用途に使用した場合、外為法上の刑罰や輸出禁止の行政処分の他、企業の社会的信用が失われたり取引先を失ったりというような不利益が発生します。

このような事にならないように、法律上の視点と、社内コンプライアンスの視点の双方から、取引の相手方の確認すなわち需要者確認を行っていく必要があります。

どのような点をチェックするのかという内容は、企業によって異なります。
企業が自らの安全保障貿易管理の業務の中で独自に審査項目を設定していく事になります。

輸出令別表第1の16の項の貨物や外為令別表の16の項の技術については、ホワイト国以外の国に輸出する場合には、キャッチオール規制に基づき、需要者要件に該当するかどうかの確認を行う必要があります。

また、リスト規制品のうち少額特例が適用できる貨物や許可を要しない役務取引等に規定されている一部のプログラムは、キャッチオール規制の需要者要件に基づくチェックが必要となります。

キャッチオールのknow要件とは?

どのような場合にキャッチオールのknow要件に該当するのでしょうか?
輸出許可を考える上では、リスト規制の他に、キャッチオール規制にも注意を払う必要があります。
この、キャッチオール規制には、核兵器等の開発等又は核兵器等開発等省令の別表行為に用いられる疑いがあること等を知った場合のknow要件というものがあります。

では、核兵器等開発等省令で定められている客観要件には該当しないにも関わらず、核兵器等の開発等又は核兵器等開発等省令の別表行為に用いられる疑いがあること等を知った場合のknow要件とは、いったいどういう場合が該当する事になるのでしょうか。

貨物の輸出の場合は、輸出者、需要者やこれらの代理人以外の者からの情報により知った場合が該当します。
技術提供の場合は、当該取引の相手方、当該技術を利用する者やこれらの代理人以外の者からの情報によって知った場合が該当します。
従って、その契約に関与していない法人等から、核兵器等の開発等や別表に掲げる行為のために用いられるとの連絡を受けた場合が、know要件での「知った場合」に該当する事になります。

但し、入手文書等や連絡もなく、製品の特性やそれが用いられる周辺情報からして核兵器等の開発等や別表に掲げる行為のために用いられる疑いがある場合などについては、ここでの「知った場合」には該当しませんが、取引をすすめるか否かは慎重に検討するべきでしょう。

外国人ユーザーリストに相手の企業が載っていたら?

外国人ユーザーリストとは、経済産業省が輸出貿易管理令に基づいて作成しているリストで、輸出された貨物や技術が、大量破壊兵器、生物兵器、化学兵器、ミサイル等の開発や製造等に使用される懸念がある外国の企業や組織の名前が掲載されているリストです。

このリストは経済産業省の安全保障貿易管理のホームページで公開されており、毎年のよう改訂が行われています。ダウンロードして使用する場合は最新版に注意しましょう。

このリストに名前がある企業に輸出を行う場合は、大量破壊兵器等の開発等に利用されるおそれがないことが明らかな場合を除いて経済産業省の許可が必要となります。

では、この外国人ユーザーリストに掲載されている関係企業も同様の扱いが必要になるのでしょうか?

外国人ユーザーリストは、掲載されているその企業が需要者となる場合に対象となるリストなので、あくまで法人単位で考えます。そのため、関係企業の場合は、別法人であれば、あらためて需要者確認を行って、許可の要否を別途で判断する事になります。
もちろんその結果需要者要件に該当するのであれば許可は必要になりまして、この点は他の企業と同じになります。

キャッチオール規制の通達の「輸出者が入手した文書等」の範囲とは?


キャッチオール規制通達の用語の解釈では、「輸出者が入手した文書」は、輸出者がその貨物を輸出するにあたっての個々の契約に限定されず、輸出前に入手したすべての文書等をいうとされています。これは通常の商慣習の範囲内で入手した文書を想定しています。

経済産業省の告示「輸出貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合を定める省令第二号及び第三号の規定により経済産業大臣が告示で定める輸出者が入手した文書等」では、輸出貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合を定める省令第二号及び第三号の規定により経済産業大臣が告示で定める輸出者が入手した文書等を次のように定めています。

なお、需要者要件に関しては、輸出に関係する書類で輸出者が入手した文書のうち、経済産業省が告示で定めるものとされており、以下の文書を対象とする告示が出ています。

その貨物の輸出に関し、輸入者等から入手したパンフレット又は最終製品のカタ
ログ及びその他の輸出者が入手した文書等

輸出貿易管理令(昭和24年政令第378号)第4条第1項第三号イに規定する核兵器
等の開発等の動向に関し、経済産業省が作成した文書等

前二号に掲げるもののほか、その貨物の輸出に際して、輸出者がその内容を確認
した文書等